キーボードの吸音材(フォーム)はケースの中で音が響く度合いを変え、空洞のような反響や金属ケースのピン音を減らすことがあります。 ただし、吸音材が主に扱うのはケース内の響きです。キーキャップがぶつかる音やスイッチが底に当たる音は残るため、フォームを入れればどのキーボードも同じように静かになるわけではありません。
キーボードの吸音材はどこに入る?
BGRのキーボードフォーム解説は、フォームを入れる位置をケースの底と、プレートと基板の間に分けています。Gloriousのフォームガイドも、ケースフォームとプレートフォームを組み合わせて内部の響きを減らす構成を紹介しています。
| 位置 | 入る場所 | よく紹介される役割 | あわせて確認すること |
|---|---|---|---|
| ケースフォーム | ケースの底、すべての部品の下 | 空洞のような響きを減らす | ケースの素材と内部の空間 |
| プレートフォーム | プレートと基板の間 | 鋭い余韻をやわらげる | プレートのしなりが減るか |
| 基板上の薄いフォーム | 基板のすぐ上 | スイッチの音をあまり妨げずに高音を整える | 厚さ、素材 |
すべてのキーボードにこれらの層が入っているわけではありません。商品説明に「吸音材入り」とだけ書かれていたら、どの層に何が入っているかを先に確認してみてください。
吸音材で減る音と残る音
Gloriousは、フォームがケース内の余った空間を埋めて響きによる空洞音を減らし、金属ケースで出る高いピン音を減らせると説明しています。樹脂系のケースではピン音が目立ちにくいものの、好みでフォームを使う人もいると付け加えています。
一方で、フォームが直接届かない音もあります。キーキャップ同士やキーキャップとスイッチがぶつかる音、スイッチ内部のシャリ感、長いキーのスタビライザーの音は、別の部品の問題です。スペースキーだけがカチャつくならスタビライザーの音を、押すときにシャリシャリするならスイッチの潤滑と打鍵音を先に見てみてください。
素材名はどう読む?
吸音材の説明には、PE、IXPE、Poron、EVAといった名前がよく出てきます。BGRはPEフォームをスイッチの音をあまり妨げずに音を整える一般的な素材として、PoronとEVAをより密度が高く音をより多く吸収する素材として紹介しています。GloriousはEVAとネオプレンを吸音用の素材として挙げています。
- PE・IXPE: 基板の上に薄く敷かれることが多い素材です。
- Poron・EVA: ケースやプレートの下に、厚く密度の高い層として使われることが多い素材です。
これは各記事の整理であり、素材名だけで音を正確に予測することはできません。同じ素材でも、厚さや位置、ケースの構造によって結果は変わります。プレート素材の読み方はプレート素材と打鍵音で同じように扱っています。
多く入れるほど良い?
吸音材は多く入れるほど良くなる部品ではありません。BGRは、厚い層ほどこもった音になり、薄い層はスイッチの音を妨げずに高音をやわらげると説明しています。はっきりした音が好みなら、むしろ少なめのほうが合うかもしれません。
Gloriousは、プレートフォームが基板のしなりを減らすことがあるため、しなりが好きな人は組み合わせを変えて試すよう勧めています。音と指先の感触が一緒に変わることがある、ということです。
吸音材の前後動画を見るときの確認
「フォームを入れる前と後」の動画は、違いが大きく聴こえるように編集されがちです。次の条件が同じかを先に確認してみてください。
- 同じキーボード・同じスイッチ・同じキーキャップ? ほかの部品も変わっていれば、フォームだけの違いとは見ません。
- どの層を変えた? ケースフォームか、プレートフォームか、両方かを確認します。
- 机と録音条件は同じ? 机の素材、マイクの位置、音量、後処理が違えば音が変わります。
- どの音が変わった? 反響か、ピン音か、キーキャップの音かを分けて聴いてみます。
聴いた音を言葉にしたいときは、thocky・clacky・creamyのコラムも参考になります。
KeyKeyでは吸音材をどう考える?
KeyKeyは、キーキャップとスイッチを集めて装着し、画面をタップして音と対応機種のハプティクスを楽しむキーキャップアプリです。アプリには実物のケースや吸音材はなく、タップしたときの音はキーキャップとスイッチに合わせて設計したデジタルサウンドです。実際のキーボードにフォームを入れたときの変化を再現したり比べたりする道具とは考えないでください。
今回は条件をそろえた実物の録音がないため、音声の比較は掲載していません。代わりにKeyKeyの打鍵音サンプルで、音の始まりと終わり、残る響きを分けて聴く練習をしてみてください。フォームの動画を聴くときにも同じ方法が役立ちます。
KeyKeyのホームページでは、気になるキーキャップと音を小さめの音量で先に試せます。
参考資料と記事の範囲
BGRの記事は吸音材の位置と素材ごとの説明を、Gloriousのガイドは反響とピン音、プレートフォームによるしなりの変化を説明するために引用しました。両記事の音の描写は各記事の説明であり、すべてのキーボードにそのまま当てはまる規則としては扱っていません。表と確認リストは音を分けて聴くための整理であり、実施した測定の結果ではありません。

